冬キャンプに挑戦!冬のキャンプは魅力がいっぱい
ある程度キャンプに馴れてくると湧き上がってくる願望。
それが、冬のキャンプ。
雪が積もった真っ白なフィールドで、焚き火や薪ストーブの揺らめく炎を眺めながら、時の経過をのんびりと楽しむ。
早朝の頬を切るような寒さの中、日の出を眺めながら淹れたてのコーヒーを飲んだり。
想像しただけで幸せな気分になりますよね。
基本の全てを網羅しているわけではありませんが、冬キャンプを安全で快適に楽しむための基本的なことをまとめてみました。
この記事の内容
冬のキャンプの特徴
温暖な時期のキャンプでは体験できない楽しさがあるのも、冬のキャンプの魅力のひとつと言えるでしょう。
冬のキャンプは寒い時期だからこそ感じられるの良さ、その反面夏とは違った大変さがあります。そのため、夏のキャンプとは違った装備や知識、経験、心構えが必要になってきます。夏場とは全く異なる事故リスクがあることも知っておかなければなりません。
冬のキャンプのいいところ
- 焚き火の暖かさが心地よい
- ストーブを使って暖かくて快適なテント内
- クーラボックスがいらない
- 熱中症の心配がない
- 虫がいない
- 熊さんは冬眠中
- 空気が澄んで星がきれい
冬のキャンプの大変なところ
- 寒さ対策を怠るとつらい目に遭う
- キャンプ地の選択肢が夏に比べ少ない
- 荷物が多くなる
- 冬の装備品購入にある程度の費用がかかる
- 設営・撤収の手間が若干増える
- 温かい時期に比べ生命にかかわる事故リスクが増加する
寒さ対策はしっかりと!想定外の寒さにも備えること
冬のキャンプを成功させる秘訣は寒さ対策にあると言っても過言ではないくらいに寒さに対する準備は大切です。
体を動かす機会が多い日中と、日没後や就寝時など、状況によって感じる寒さも違ってきます。
活動中は着たり脱いだりして体温調節しやすい服装がベスト
体を動かさずにじっとしていると、体の末端部分がとにかく冷えます。
真冬の屋外は想像している以上に寒さを感じます。
普段の生活の服装にアウターを着る程度では寒さを防ぐことはできません。
ヒートテック等のアンダーウェアや靴下の重ね着、フリース等のミッドレイヤー、更にダウンジャケット等の温かいアウターなどを重ねて着込んでください。
状況によって脱いだり着たりして体温を調節できるような服装が望ましいです。
また、指先や耳など末端部の冷えやすいところを冷気から遮断するのも快適に過ごすコツです。
上半身は毛糸の帽子やダウンジャケット、手袋などでバッチリの防寒なのに、下半身の防寒が不十分な方を見かけます。
シェルター内でストーブなどの暖房を入れると半袖で過ごせるくらい暖かくすることもできますが、それでも足元はひんやりした空気が流れます。
最も冷える地面付近に近い下半身の防寒をしっかり行うことが、快適な冬キャンプの秘訣です。
一番寒さを感じる就寝時は冬用シュラフで乗り切る
低気温に対応したシュラフが必要です。ダウンでも化繊でも暖かさをキープできる性能があれば大丈夫です。
快適に眠りたいなら、シュラフの下限温度が実際の気温よりマイナス10℃程度低いシュラフを選びましょう。
例えばキャンプ地の気温が−5℃の場合、外気温よりも10℃低い−15℃が下限性能のシュラフを選びます。
下限温度が気温と同じ−5℃のシュラフではおそらく寒くて寝ることができません。
また、シュラフだけでなく地面との断熱のためのマットや、シュラフカバー、インナーシュラフなどもうまく組み合わせて温度調整しましょう。
封筒型よりもマミー型のほうが低気温に強いとされています。
ストーブなどの暖房を使う場合は万全の安全対策をしよう
薪ストーブ、石油ストーブ、ガスストーブなど様々あります。
それぞれ一長一短があるので、滞在期間やテントのサイズ、キャンプスタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。
使用する際はテント火災や一酸化炭素中毒に十分に注意して使用してください。
ガスカートリッジを使うなら低気温に対応したものを使おう
気温が低いと夏用ガスカートリッジではガスが気化せず使用できなくなります。
それほど寒くない気温でも、使用しているうちにカートリッジが冷えて使えなくなってしまう場合があることも覚えておきましょう。
低気温でも使用することができるイソブタンやプロパンが配合されたガスカートリッジがあれば安心です。
また、ホワイトガソリンを燃料とする火器はポンピングの圧力で燃料を噴射するので、外気温の影響なく使用することができます。
冬のキャンプで注意するべきこと
冬のキャンプには夏のキャンプでは意識していなかったリスクが潜んでいます。
夏とは違い、熱中症になったり、毒虫に刺されたり獣が出没したりするリスクは極めて低いですが、人為的な事故のリスクが増えます。
火器使用によるテントの火災
火器を使用する際は、テント火災に注意しなければなりません。テント内での火の使用は最悪の場合は死亡事故に繋がります。
難燃処理が施されたテントだとしても燃え難いのはフライシートのみである場合が多く、インナーテントは恐ろしいほど火の延焼が早いです。
特にインナーテントの中で絶対に火器を使用してはいけません。
また、ほとんどのテントメーカーでは全室であっても火の使用は推奨していませんので、使う場合は自己責任になります。
十分注意してください。
一酸化炭素中毒
テント内でガスやガソリン、灯油を燃料とした火器を使用する際は一酸化炭素中毒に注意してください。火災と同じく死亡事故に繋がります。
テントの気密性はそれほど高くはありませんが、小さなテント内で火器を使用する際は十分な注意が必要です。
前項と同じくインナーテントの中で火器を使用してはいけません。死亡に直結する事故リスクがあります。
落雪・雪崩
設営場所に落雪や雪崩の危険がないかよく周囲を確認してください。
キャンプ場内であれば雪崩の危険性は少ないですが、木の下、特に建物の軒下などの近くは落雪への注意が必要です。
木から落ちてくる雪はせいぜいテントを破損させる程度ですが、屋根から落ちてくる大量の雪でテントごと埋没してしまう可能性があります。
埋もれたテントから脱出できなければ待っているのは窒息死です。
風が当たらないからといって建物の軒下への設営は避けるべきです。
凍結
気温が氷点下であれば、濡れたものは基本的に全て凍ります。
身の回りのものが凍結しても人的な被害は少ないですが、使う際や撤収の際にかなり難儀します。
道具は極力濡らさないように心がけましょう。
炊事場の水道や、トイレの水道も凍結する場合があります。
蛇口から少しだけ水が出ている場合は凍結防止のためにしていることが多いです。うっかり止めて凍らせてしまわないように。
冬場に凍った水道は、温めて溶かさない限り春まで凍ったままです。
積雪
降った雪が積もった際に起こり陥りやすいのが、放置した道具の埋没です。
夜間の降雪によって翌朝起きたら雪に埋まってしまっていたという失敗談はよく聞きます。
積雪のなかった日中に道具をうっかり出しっぱなしにしていると翌朝になって本当に後悔します。
完全に埋まってしまい、どこにあるのかわからなくなると探し出すのはかなり困難です。
移動のための車もキャンプ道具のひとつと考えよう
冬季のキャンプでは、車にも相応の準備が必要です。
走行路の積雪や凍結に備えなければなりません。
装備や経験のキャパシティを超えた低気温や暴風などの緊急時はシェルターとしての役割も果たします。
車の装備品は高額なものも多いですが、必要に応じて準備しましょう。
スタッドレスタイヤ
凍結していたり雪が積もった道路をノーマルタイヤで走行するのは相当危ないです。
凍結した路面では、走る・曲がる・止まるという基本動作がノーマルタイヤではまともにできません。
単独事故はもちろん場合によっては自分だけでなく他者をも巻き込む事故は絶対に避けなければなりません。
スタッドレスタイヤの購入は高額な出費を強いられますが、冬道を走るためには必須の装備です。
樹脂製のタイヤチェーンなどである程度カバーできますが、高速道路を長距離走るようは場合はスタッドレスタイヤのほうがストレスなく走行できます。
ちなみにスタッドレスタイヤでも滑るときは滑ります。
スタッドレスタイヤの性能限界を知った上でキャンプ地まで安全運転を心がけてください。
タイヤチェーン
せめて駆動輪分だけでも準備しておくと安心です。鉄の鎖で出来たものをはじめ、樹脂製、布製など様々な種類があります。
スタッドレスタイヤの代わりとしても使えますし、スタッドレスタイヤでも傾斜がきつい凍結路は登れない&止まれない状況が容易に発生します。
スタッドレスタイヤを装着し、補助装備としてタイヤチェーンも準備しておくと完璧です。
スコップ
スタックしたらタイヤ周りや車体の下の雪を取り除く際に必ず必要になります。
設営の際にも使えますので持っていて損はありません。
スタック脱出用アイテム
スタックしてしまうと自力での脱出はなかなか難しいです。誰もいない山道でスタックして身動きが取れなくなる状況は避けなければなりません。
タイヤの下に入れる板状の脱出アイテムなどを持っていれば自力脱出の確率は上がります。
通りすがりの車に助けて貰う場合も考え、牽引ロープも準備しておきましょう。
設営時に
積雪がある場所にテント設営する場合は除雪や整地が必要です。
積雪が多く除雪が難しい場合は踏み固めたりスコップで掘る均すなどして設営に必要な面積を平らなスペースにします。
除雪が可能な積雪であれば、多少時間がかかっても地面が見えるように設営スペースを除雪してしまうことをおすすめします。
もちろん雪を除雪せずに踏み固めるのもありですが、設営後も常に下からの冷気にさらされることになるため足元がどうしても寒くなります。
この際、先端が平らなシャベルがあれば作業が楽になります。
冬キャンプに適したテントって?
基本的には夏用のものでも大きな問題はありませんが、向き不向きはあります。
冬に適したテントの特徴の一例です。タープなどを用いる方法もありますがビギナー向けではないため今回は割愛いたします。
結露が少ないのはダブルウォールテント
テントにはシングルウォールとダブルウォールのテントがあります。
山岳向けのテントに多く見られるシングルウォールはダブルウォールに比べ構造的に結露しやすいので、初めての冬キャンで使うなならダブルウォールがおすすめです。
メッシュ面積が少ないインナーテント
夏に涼しい全面メッシュタイプのようなインナーテントは、テント室内の暖気が逃げてしまうため外気温に近い環境で寝ることになります。
風が当たらないので外にいるような寒さではないですが、ある程度の快適さを求めるならメッシュ面積の大きいインナーテントは避けましょう。
ちなみに夏向きのテントを代用した際の就寝時に感じる寒さは、高性能のシュラフを使うことででかなり和らげることができます。
スカート付きのフライシート
フライシートにスカートが装備されていれば、冷たい風の吹込みやテント内への冷気の侵入を緩和することができます。
さあ、冬のキャンプを楽しもう
冬のキャンプについて基本的なことをまとめてみましたがいかがでしたか?
夏のキャンプと違うことがたくさんありますが、冬キャンプだからこそ味わえる楽しさがあります。
冬の道具や知識・経験があればとても快適で楽しいキャンプが楽しめます。
いきなり冬キャンプを始めるのは色々不安を感じると思います。
はじめは慣れた人と一緒にトライしてみて、必要な装備や安全に冬キャンプをする方法を学ぶのが良いと思います。
安全に楽しく冬のキャンプを楽しみましょう!